「潜在ケアマネ12.5万人」というニュースに、現役ケアマネとして強くうなずいた話

介護保険の事〜

ニュースを見て「そりゃ、そうなるよな…」と思った

「潜在ケアマネが12.5万人」

ケアマネ 資格保有者4割従事せず - Yahoo!ニュース
介護保険サービスの利用計画を立てるケアマネジャーの有効な資格を持つ人のうち、4割に当たる推計12万5千人が従事していない実態が20日、共同通信の47都道府県への調査で分かった。「潜在ケアマネ」と呼ば

このニュースを見て、正直こう思いました。

**そりゃ、現場を離れる人も出るよな…**と。

私は今もケアマネとして働いています。

だからこそ、この数字は他人事じゃありません

24時間連絡体制という“暗黙の前提”

ケアマネの仕事って、書類仕事だけだと思われがちですが、

実際は24時間連絡が取れる存在であることを、いつの間にか求められています。

  • 夜間の急変
  • 家族からの突然の電話
  • 施設・病院・行政からの確認連絡

「営業時間外です」と割り切れない場面が、当たり前のようにあります。

身寄りのない方を担当した瞬間、責任の重さが一気に変わる

特に身寄りのない利用者さんを担当すると、状況はさらに重くなります。

  • 病院から「キーパーソンがいないので対応を」
  • 行政から「とりあえずケアマネさんが…」
  • 時には警察から直接連絡が入ることもある

気づけば、

生活・契約・入院・退院・亡くなった後のことまで

すべての“窓口”がケアマネになっている。

一度担当したら、簡単には「終われない」

契約に立ち会い、

生活背景を把握し、

困りごとを一緒に整理していく。

そうやって関わった利用者さんを、

「大変だから」と簡単に手放せる人は、そう多くないと思います。

だからこそ、

責任が積み重なっていく構造になっている。

契約の立ち会い

生活背景を把握し、

困りごとを一緒に整理していく。

そうやって関わった利用者さんを、

「大変だから」と簡単に手放せる人は、そう多くないと思います。

だからこそ、

責任が積み重なっていく構造になっている。

行政・病院・制度の“はざま”で受け止める役

行政の論理

病院の事情

制度上の制約

その間に立って、

説明し、調整し、時には感情も受け止める。

でも、その負担に見合う評価や仕組みが、

十分に用意されているかと言われると…正直、疑問です。

潜在ケアマネが増えるのは「甘え」じゃない

このニュースを見て、

「資格があるのに働かないのはもったいない」

そう言う人もいるかもしれません。

でも私は、

一度現場を経験したからこそ離れた人も多い

そう思っています。

逃げたんじゃない。

壊れないために距離を取っただけ。

それでも、現場に立ち続ける理由

じゃあ、なぜ自分は続けているのか。

それは、

支援がうまく回った瞬間の安心した表情だったり、

「ありがとう」の一言だったり、

誰かの生活が“ちゃんと続いている”実感があるから。

ただ、

この想いだけで支え続けるには、限界がある

それもまた事実です。

じゃあ、なぜ自分は続けているのか。

それは、

支援がうまく回った瞬間の安心した表情だったり、

「ありがとう」の一言だったり、

誰かの生活が“ちゃんと続いている”実感があるから。

ただ、

この想いだけで支え続けるには、限界がある

それもまた事実です。

 

最後に|このニュースを「警鐘」で終わらせないために

「潜在ケアマネ12.5万人」という数字は、

単なる人材不足の話ではありません。

これは、

現場が長年抱え続けてきた無理や歪みが、限界を迎えているサインだと思います。

だからこそ、

「大変だ」「厳しい」で終わらせるのではなく、

現実的な対策を本気で考える段階に来ているのではないでしょうか。

① ケアマネの“シャドーワーク”を減らし、仕事を切り分ける

身寄りのない方の対応、緊急時の連絡窓口、

行政・病院との調整役まで、すべてをケアマネが背負う今の構造。

本来のケアマネジメント業務以外の仕事を見直し、

役割分担や専門職・行政との切り分けを進めることが不可欠です。

② ケアマネに対する報酬を引き上げる

責任の重さ、24時間対応、精神的負担。

それに見合う評価が、正直なところ十分とは言えません。

「やりがい」だけに頼るのではなく、

報酬という形で専門性と責任を正当に評価することが、

人材を守り、戻すための前提条件だと思います。

③ 更新研修の負担軽減・廃止とセットで、利用者と向き合う時間を増やす

研修や書類に追われ、

本来一番大切なはずの利用者・家族との面談時間が削られている現状。

更新研修の在り方を見直し、

その分、利用者とじっくり向き合える時間を確保する。

それが結果的に、

ケアマネと利用者・家族との信頼関係を深め、

より質の高いケアマネジメントにつながるはずです。

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