

なぜ介護現場は安心できないのか
また一つ、介護に関する「決議」のニュースが出ました。
自民党の介護福祉議員連盟が、2025年度の介護報酬改定に向けて、
処遇改善や事業所の経営安定を求める決議をまとめたという内容です。
一見すると、前向きな話に見えます。
でも正直なところ、この記事を読んで「これで安心だ」と思えた介護現場の人は、
それほど多くないのではないでしょうか。
私自身も、その一人です。
決議の内容は「正論」ばかり
記事の中で語られている内容は、どれももっともな話です。
- 介護職員の処遇を改善しなければ人材が定着しない
- 物価高や最低賃金の上昇で事業所経営は限界に近い
- 補正予算だけでなく、継続的な支援が必要
どれも現場にいる人間なら、
「そう、それそれ」とうなずく話ばかりです。
むしろ、「やっと言葉にしてくれた」と感じた人もいると思います。
それでも拭えない違和感
それなのに、なぜ安心できないのか。
理由は単純で、
これまで何度も同じような話を聞いてきたからです。
処遇改善、経営安定、現場の声――
どれも、昨日今日に始まった話ではありません。
そのたびに期待して、
結局は「微増」「条件付き」「一時的対応」で終わってきた。
今回も「補正予算は止血にすぎない」という言葉が出ていますが、
まさに現場の感覚そのものだと思います。
止血は必要です。
でも、傷口を縫わなければ、また出血する。
介護はなぜ“後回し”にされ続けるのか
医療、子育て、防衛、経済対策。
政治の世界には優先順位があるのは理解しています。
ただ、介護はいつも
「とりあえず今はこれで」
そんな扱いを受けているように感じてしまいます。
介護はコストではなく、
誰かの生活そのものです。
そしてその生活を支えているのは、
現場で働く人たちです。
その人たちが疲れ切ってしまえば、
制度は静かに崩れていきます。
現場が本当に欲しいのは「安心感」
賃金がいくら上がるのか。
いつまで続くのか。
次の改定で下がらないのか。
介護現場が欲しいのは、
派手な決議よりも、先が見える安心感です。
「来年も続けていける」
「人を雇っても大丈夫だ」
そう思える材料が、まだ足りません
期待していないわけじゃない
誤解してほしくないのは、
「何も期待していない」わけではないということです。
ただ、期待しすぎないようにしている。
それが今の介護現場のリアルだと思います。
今回の決議が、
本当に現場の安心につながる形になるのか。
静かに、でもしっかり見ていきたいと思います。

