
新選組隊士の中には、昭和13年(1938年)まで生きた人物がいたことをご存じでしょうか?
その男こそ 池田七三郎(いけだ しちさぶろう)。
近藤勇の小姓として幕末を駆け抜け、明治・大正・昭和という激動の時代を生き抜いた、まさに“最後の新選組隊士”と呼ばれる人物です。
この記事では、新選組の裏側を見続けた池田七三郎の生涯を、初心者にも分かりやすく解説します。
2. 池田七三郎とは?

池田七三郎(1847-1938)は、下総国(現在の千葉県付近)に生まれた青年で、幼い頃から剣術に憧れて江戸に出ました。
その剣への情熱が、新選組との出会いを呼び寄せます。
3. 新選組に入隊し、近藤勇の小姓となる

慶応3年(1867年)、20歳の七三郎は新選組に入隊。
そこで彼はなんと、隊長 近藤勇の小姓 に抜擢されました。
小姓とは、主君の身辺を守り、世話をする非常に近しい立場。
信頼される若者でないと務まらず、七三郎の誠実な人柄が伺えます。
4. 戊辰戦争での戦い

幕末の動乱が加速する中、七三郎は戊辰戦争の最前線に立ちます。
- 鳥羽・伏見の戦い
- 甲州勝沼の戦い
激しい戦いで負傷しながらも近藤勇のそばで戦い続けた七三郎。
しかし新選組は徐々に敗勢へと追い込まれていきます。
5. 維新後:名前を変え、静かに暮らす

新選組崩壊後、七三郎は投降し拘禁されますが、やがて解放。
明治になると「**稗田利八(ひえだ りはち)」**と名乗り、材木商として生活を営みます。
しかし、心には常に新選組の日々と近藤勇の温かさが残り続けました。
6. “最後の隊士”として語り部になる

晩年になると七三郎は、新選組を研究する作家 子母澤寛 に、自身が見た新選組の姿を語ります。
この証言は後世の新選組研究にとって極めて貴重な資料となりました。
さらに彼は、
近藤勇の墓へ毎月参拝を続ける
という、変わらぬ忠義心を生涯貫きます。
7. 90歳で他界。昭和まで生きた“生き証人”

昭和13年(1938年)。
池田七三郎は 90歳で逝去。
新選組の多くが若くして散っていった中、幕末・明治・大正・昭和と四つの時代を生き抜いた彼は、
昭和まで生きた最後の新選組隊士
として今も名前を残しています。
8. おわりに

幕末の剣士が、実は 昭和13年まで生きていた。
この事実は、新選組という組織がどれほど長い時間、人々の記憶に生き続けたかを教えてくれます。
華々しい英雄ではなくとも、
誠実に、静かに、生涯を通して主君を想い続けた池田七三郎。
その姿は、私たちに “忠義とは何か”、“歴史とは誰が語り継ぐのか” を問いかける存在です。
新選組の歴史に触れるとき、ぜひこの最後の隊士の姿も思い出してみてください。
昭和まで生きた彼の人生は、時代を越えて語り継がれる価値があります。

